結論:サイボウズは「長く働く前提で選びたい会社」
結論から言うと、サイボウズは長く在籍して専門性を積み上げたい人に向く会社です。平均勤続年数6.7年は、SaaS企業の中では際立って長い数字です。人の入れ替わりが激しい業界だからこそ、この違いは判断材料になります。
一方で、制度が整っているぶん、役割の変化は緩やかです。短期間で大きな裁量を得たい人には、物足りなく感じられる可能性があります。
本記事では公開情報をもとに、事業の構造、働き方、年収、選考の傾向を整理します。
基本データ|数字で見る会社の輪郭
まずは公表されている数字を押さえます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 社名 | サイボウズ株式会社 |
| 上場区分 | 東証プライム(証券コード4776) |
| 決算期 | 12月 |
| 平均年収 | 719万円(2025年12月期) |
| 平均年齢 | 36.4歳(同) |
| 平均勤続年数 | 6.7年(同) |
| 従業員数 | 単体1,080名/連結1,356名(同) |
平均年収719万円、平均年齢36.4歳、平均勤続6.7年。平均年収は2023年12月期の664万円から、688万円、719万円と上がっています。
※ 平均年収は有価証券報告書の提出会社を対象とした数値です。職種・等級によって実際の水準は異なります。
事業内容|kintoneが売上の6割近くを占める
サイボウズは「グループウェアの会社」として知られていますが、売上の中心はすでにkintoneに移っています。
| 製品 | 売上高(2025年12月期) | 前年比 |
|---|---|---|
| kintone | 216億8,900万円 | +33.9% |
| サイボウズ Office | 68億3,200万円 | +18.7% |
| 連結売上高 | 374億3,000万円 | +26.1% |
| 連結営業利益 | 101億円 | — |
※ 2025年12月期 決算短信・決算説明資料。クラウド売上比率は92.1%です。
kintone|売上の約6割
プログラミングなしで業務アプリを作れるクラウドサービスです。売上は216億8,900万円で前年比33.9%増、連結売上に占める比率は6割近くまで上がりました。
成長の牽引役はパートナー企業です。kintoneの導入・構築を担う代理店・開発パートナーが数多く存在し、直販よりもパートナー経由の売上が大きい構造です。営業職は、顧客を直接回すよりもパートナーの支援が主業務になることがあります。
サイボウズ Office|18%を占める既存主力
中小企業向けのグループウェアで、国内累計導入社数は83,000社に達しています。売上は68億3,200万円で前年比18.7%増と、成熟製品としては健闘しています。
kintoneとOfficeでは顧客層が違います。Officeは「まず社内の情報共有を整えたい」中小企業、kintoneは「業務そのものを仕組み化したい」企業です。同じ会社でも、担当する製品で商談の入り口が変わります。
クラウド比率92.1%という構造
売上の92.1%がクラウドです。つまりストック収入が主体で、四半期の売上はほぼ解約率と新規課金で決まるということです。
この構造は、営業の評価指標が「受注額」より「継続と拡張」に寄ることを意味します。単発の大型受注よりも、既存顧客の利用拡大が効く世界です。
アジア展開という隠れた軸
2025年9月にはバンコク・深圳・上海・台北の4都市で「kintone Days」を開催しています。国内市場が成熟するなかで、アジアが次の成長領域として位置づけられています。
海外拠点で働く可能性は誰にでもあるわけではありませんが、グローバル前提のプロダクト開発に関わる機会は増えています。
働く環境|制度と数字の関係
平均勤続6.7年という数字は、制度の整備と無関係ではありません。
- 働く場所や時間の選択肢が多く、ライフステージの変化に対応しやすい
- 複数キャリアや副業を認める制度があり、社外の経験を活かせる
- 平均年齢36.4歳で、30代後半から40代の社員が中心
制度が整っているということは、自分で環境を作らなくても働けるということです。逆に、制度を超えて急速に成長したい人には、刺激が少ない環境になる可能性があります。
年収|719万円という水準の読み方
2025年12月期の平均年収は719万円です。SaaS企業の中では中位からやや上の水準で、職種間の差は比較的小さいと考えられます。
営業職は代理店経由の販売が中心のため、直販の会社とはインセンティブの設計が異なります。エンジニア職はプロダクトの開発と運用が中心で、評価は開発の成果と品質に向きます。
※ 提示額は職種・等級・経験によって変わります。求人票の想定年収と等級の関係を確認してください。
選考の傾向と対策
選考は一般的に、書類選考、面接数回、最終面接という流れです。職種によっては課題が加わります。
面接で聞かれること
- なぜサイボウズなのか。製品のどこに価値を感じたか
- 長く働く前提で、何を積み上げたいのか
- チームで働くうえで、どのような役割を取ることが多いか
平均勤続が長い会社では、入社後の活躍期間を長く想定した質問が多くなります。「転職を通じて何を実現したいか」ではなく「この会社で10年かけて何を作りたいか」に近い聞かれ方をします。
面接では、働き方の制度に対してどう考えているかも確認されます。制度を権利として使いたいのか、働き方の選択肢として理解しているのかで、受け取られ方が変わります。
向いている人・向いていない人
向いているのは、長く働きながら専門性を積みたい人、チームでの合意形成を重視する人です。向いていないのは、短期間で役割を大きく変えたい人、個人の成果を前面に出したい人です。
- 向いている:働き方の選択肢を活かしながら長くキャリアを作りたい
- 向いている:顧客と一緒に業務を改善していく仕事に関心がある
- 向いていない:数年単位で職種を変えながら急速に成長したい
- 向いていない:個人の数字を競う環境を求める
企業概要|離職率4.36%という異常値
| 指標 | 数値 |
|---|---|
| 従業員数 | 1,080人(単体)/1,356人(連結) |
| 平均年収 | 718万円 |
| 平均年齢 | 36.4歳 |
| 平均勤続年数 | 6.7年 |
| 離職率 | 4.36% |
| 有給休暇取得率 | 77.86% |
| 女性管理職比率 | 28.7% |
| 男性育児休業取得率 | 83.3% |
| 男女の賃金の差異 | 80.0% |
※ 2025年12月期 有価証券報告書。従業員数・平均年収・年齢・勤続年数・離職率は単体の数値です。
離職率4.36%・勤続6.7年はSaaSでは異例
SaaS業界の離職率は10〜15%程度が一般的です。4.36%は3分の1以下の水準で、勤続6.7年という長さにも表れています。
これは働きやすさの裏返しである一方、外から入る人にとっては「居心地の良さに慣れると外に出にくくなる」という側面もあります。長く働く前提で選ぶなら良い環境ですが、3年で市場価値を上げて出る前提なら、意識的に外を見ておく必要があります。
女性管理職28.7%は国内でも突出
国内企業の平均が10%前後というなかで28.7%は極めて高い水準です。同社は「女性社員比率と近い割合が自然」という考え方を示しており、数を目標にするのではなく、母集団の構成に合わせるという設計です。
有給取得率77.86%も高く、制度と運用が一致している数少ない例です。
残業時間は開示されていない
有価証券報告書に残業時間の記載はありません。ただし離職率と有給取得率から、労働時間の管理は比較的厳格だと推測できます。
よくある質問
Q. 未経験でも転職できますか。
A. 職種によります。営業は法人営業の経験が問われることが多く、コーポレート職は前職の専門性を接続しやすい領域です。
Q. リモートワークはできますか。
A. 働く場所を選べる制度が整備されていることで知られます。職種や時期による運用の違いは、選考の途中で確認してください。
Q. 副業はできますか。
A. 複数キャリアを認める制度が公開されています。詳細は最新の採用情報で確認してください。
まとめ
サイボウズは、グループウェアとkintoneを持つ会社です。平均年収719万円(2025年12月期)、平均年齢36.4歳、平均勤続6.7年という数字は、長く働く前提の組織であることを示しています。
応募前には、自分が長く在籍する前提で働けるかを考えておくこと。これが入社後の満足度を最も大きく左右します。

