SaaS業界は未経験からでも転職できます。ただしどこから入るかで難易度が大きく変わり、いきなりフィールドセールスやプロダクトマネージャーを狙うと通らないことが多くなります。
この記事では、現実的に通るルートを3つに絞り、それぞれの準備を整理します。
結論:未経験からの現実的な入り口は3つ
| ルート | 難易度 | 向いている人 |
|---|---|---|
| インサイドセールス(IS) | 最も入りやすい | 営業未経験、20代、まず業界に入りたい |
| カスタマーサクセス(CS) | 中程度 | 顧客対応・運用・保守の経験がある |
| 事業会社のSaaS導入経験を活かす | 中程度 | 情シス・業務改善・導入支援の経験がある |
※ 難易度は一般的な求人要件の傾向にもとづく整理です。企業規模や時期によって変わります。
ルート1:インサイドセールスから入る
最も現実的なルートです。SaaS未経験でも採用される求人が多く、業界に入ってから職種を移る前提が成り立ちます。
求められる経験
特別なスキルは問われません。見られるのは対人経験と、数値目標に向き合った経験です。小売の接客、コールセンター、飲食の店長、塾の講師など、人と話して成果を出した経験が接続します。
選考で問われること
「なぜSaaSか」と「なぜ営業か」を分けて聞かれます。SaaSを選ぶ理由は業界の成長性では弱く、プロダクトの使われ方に関心があるかが問われます。
事前に1つ、興味のあるSaaS製品を使ってみると話が具体的になります。無料プランがある製品は多く、そこで感じた使いにくさを話題にできます。
注意点
インサイドセールスは活動量の指標で評価される職種です。架電やメールの件数を淡々とこなすことが苦にならないかは、入社前に確認しておくべき点です。
ルート2:カスタマーサクセスから入る
顧客対応の経験がある人に向くルートです。コールセンター、カスタマーサポート、導入支援、運用保守などの経験が接続します。
求められる経験
問い合わせ対応の件数や、解決までの時間を管理した経験が評価されます。加えて「顧客が成果を出すまで伴走した」経験があると強いです。
選考で問われること
「解約を防いだ経験はあるか」「顧客の利用状況をどう把握していたか」といった、数字で状況を捉える質問が出ます。
対応件数だけを話すと作業者の印象になります。担当顧客の売上や継続率にどう影響したかを添えると評価が変わります。
ルート3:事業会社でのSaaS導入経験を活かす
SaaSを「使う側」で関わった経験は、SaaS企業にとって価値があります。情シス、業務改善、DX推進、ベンダー選定の経験です。
求められる経験
導入の要件定義、ベンダー比較、社内展開の経験です。「導入して終わり」ではなく、定着まで見た経験があると評価されます。
このルートはプリセールス、カスタマーサクセス、場合によってはプロダクト側にも接続します。
未経験で通りにくい職種
| 職種 | 通りにくい理由 |
|---|---|
| フィールドセールス | 商談のクロージング経験が前提になる |
| プロダクトマネージャー | prioritization の実務経験が必要 |
| プリセールス | 技術的な会話ができることが前提 |
これらを狙う場合は、一度SaaS企業に入ってから社内異動を狙うほうが現実的です。SaaS企業は職種間の移動が比較的起きやすい構造にあります。
準備として本当に必要な3つ
未経験からの転職で差がつくのは、用語の暗記ではなく「1つのプロダクトを自分で使って、課題を言葉にできるか」です。
1. プロダクトを1つ使ってみる
無料トライアルがあるSaaSを1つ選び、実際に触ってください。使ってみて感じた不便さは、そのまま面接で話せる材料になります。
2. 用語は10個で足りる
ARR、MRR、チャーンレート、LTV、CAC、NRR、リード、商談化率、CS、PMF。この10個を自分の言葉で説明できるようにすれば、面接で困ることはほとんどありません。
逆に、用語をたくさん覚えても使い方が分かっていないと、「知識を集めただけ」と見られます。
3. 前職の経験を数字で言えるようにする
「売上を伸ばした」ではなく「担当顧客30社のうち、単価を1.2倍にした」という形です。数字がない職種でも、件数・時間・人数のいずれかは必ずあります。
20代と30代で難易度は変わる
20代はポテンシャル採用の枠があり、未経験でも通ります。30代は前職の経験が評価対象になるため、職種の接続を丁寧に説明する必要があります。
30代・40代の具体的な狙い方は「30代・40代のSaaS転職」で整理しています。
よくある質問
Q. 未経験でも年収は上がりますか。
A. 職種と前職の年収によります。インサイドセールスは前職と同程度かやや上がる例が多く、フィールドセールスへ移ると上がりやすい傾向があります。
Q. 資格は必要ですか。
A. 必須の資格はありません。ITパスポートや基本情報技術者を持っていると、IT理解の証明にはなります。
Q. 何社くらい応募すればいいですか。
A. 職種を絞ったうえで10〜20社が目安です。未経験の場合は書類で落ちる数が多くなるため、少なすぎると判断材料が集まりません。
まとめ
未経験からの現実的な入り口は、インサイドセールス、カスタマーサクセス、事業会社のSaaS導入経験の3つです。
準備として効くのは、プロダクトを1つ実際に触ることと、前職の経験を数字で言えるようにすることです。用語の暗記は後回しで構いません。

