フィールドセールス(FS)は、SaaS営業の花形とされる職種です。ただし「訪問営業」という理解は半分外れていて、実態は商談の設計と社内調整にあります。
この記事では、仕事内容・必要スキル・年収・面接で問われることを整理します。
フィールドセールスとは|ISとの分業
SaaS企業の営業は、役割を分業していることが一般的です。
| 職種 | 担当範囲 | 主な指標 |
|---|---|---|
| マーケティング | リードの獲得 | リード数・CVR |
| インサイドセールス | 見込み客との初回接点、商談化 | 架電数・商談化率 |
| フィールドセールス | 商談・提案・クロージング | 受注額・受注率・商談期間 |
| カスタマーサクセス | 受注後の活用支援・更新 | 更新率・NRR |
フィールドセールスは「商談化済みの案件」から始まるのが基本です。ゼロから顧客を探すのではなく、渡された案件をどう閉じるかが仕事になります。
ただし企業規模によっては、新規開拓からクロージングまで一気通貫で担う求人もあります。求人票の「担当範囲」を確認する必要があります。
実際の仕事の流れ
- インサイドセールスから商談を引き継ぎ、事前情報を確認する
- 初回商談で課題をヒアリングする(現状の業務フロー、困っていること)
- 製品でどう解決するかを設計し、提案書を作る
- デモやトライアルを実施し、関係者の合意を取る
- 見積・契約条件を調整し、社内の承認を取る
- クロージング、契約締結
- カスタマーサクセスへ引き継ぐ
商談期間は、中小企業向けで1〜2か月、大企業向けで半年〜1年かかることもあります。1件の商談に関わる人数も、大企業では5〜10人になることがあります。
求められるスキル
1. 課題を構造化する力
顧客は「便利にしたい」としか言わないことが多いです。そこからどの業務の、どの工程が、どれだけ時間を使っているかを聞き出して整理する力が要ります。
2. 社内を動かす力
SaaSの提案には、法務・情シス・経理・現場部門が関わります。決裁者に会うまでに、誰の合意が必要かを設計するのが実務です。
3. 数字を読む力
受注額だけでなく、商談化率・受注率・商談期間を見ます。パイプラインのどこで詰まっているかを把握できる人が評価されます。
4. 製品の理解
機能を暗記するのではなく、どの業務がどう変わるかを説明できる必要があります。
年収の目安
| 区分 | 年収の目安 |
|---|---|
| メンバー(中小企業向け) | 500〜700万円台 |
| メンバー(エンタープライズ向け) | 700〜1,000万円台 |
| マネージャー | 900〜1,300万円台 |
| 外資系(上位グレード) | 1,000万円以上も |
※ 公開求人・口コミ情報の集計にもとづく目安です。基本給とインセンティブの比率は企業によって大きく異なります。
外資系SaaSでは、基本給とインセンティブが半々という設計も珍しくありません。年収の上限が高い反面、未達時の下振れも大きくなります。
インサイドセールスからのステップアップ
SaaS未経験の人がフィールドセールスを狙う場合、インサイドセールスを経由するのが現実的です。1〜2年で商談化の実績を作り、社内異動か転職でFSに移る流れがあります。
FSの選考では「商談をクロージングした経験」が問われるため、ISの経験しかない場合は商談化の先まで関わった事例を用意しておくと話が通じます。
面接で問われること
| 質問 | 見られていること |
|---|---|
| 最も大きな案件をどう閉じたか | 商談設計の再現性 |
| 失注した案件の原因は | 分析力と正直さ |
| 社内の反対をどう説得したか | 調整力 |
| 顧客の課題をどう特定したか | ヒアリングの深さ |
実績の数字だけを話すと弱いです。その数字に至った過程を、相手が追体験できる粒度で話せると評価されます。
向いている人・向いていない人
向いている人
- 顧客の業務を理解することに時間を使える
- 複数の関係者を調整して前に進めるのが苦にならない
- 数字の原因を分解して考えるのが好き
- 長い商談期間でも集中を切らさない
向いていない人
- 短いサイクルで多くの件数をさばきたい
- 顧客の要望にそのまま応えることを優先したい
- 社内調整を面倒だと感じる
よくある質問
Q. 未経験でフィールドセールスに転職できますか。
A. 可能性はありますが、法人営業の経験がある場合に限られます。SaaS未経験かつ営業未経験の場合は、インサイドセールスからの入社が現実的です。
Q. インサイドセールスとの年収差はどれくらいですか。
A. 同じ等級であれば大きな差はありませんが、インセンティブの設計が異なるため、成果次第で差が開きます。
Q. 英語は必要ですか。
A. 外資系では、本社とのやり取りや資料が英語のことがあります。ただし日々の商談は日本語が中心の求人が多いです。
まとめ
フィールドセールスは、商談化済みの案件を設計して閉じる職種です。求められるのは提案力よりも、課題の構造化と社内調整の力です。
未経験から狙う場合は、インサイドセールスを経由するルートが現実的です。

